当館の「服部一郎記念室」は、セイコーエプソン及びセイコー電子工業(現セイコーインスツル)元社長の故服部一郎(1932~1987)が、その眼で選び、こよなく愛した作品の数々を順次ご紹介しております。この度は、服部一郎コレクションより、芸術の都 “パリ” に注目し、パリでの滞在を経て、やがて自らの画風を確立した画家たちの作品をご紹介いたします。
パリは、多くの画家たちの活躍の舞台となり、また彼らを魅了し、育んできました。なかでも、20世紀前半、パリのモンマルトルやモンパルナスには、出身国も画風もさまざまな、個性あふれる画家たちが集い、エコール・ド・パリ(パリ派)と称されました。彼らは、当時流行のフォービスムやキュビスムなどの影響を受けながらも、それぞれの民族性に根ざした造形精神を忘れることなく、個性豊かな作品を残しました。
本展は、第1章「描かれたパリの風情」、第2章「フランス生まれの画家たち」、第3章「パリに集った異国の画家たち」の3章構成で、19~20世紀にかけて、パリを活躍の舞台とした画家たちの作品をご紹介いたします。第1章「描かれたパリの風情」では、藤田嗣治(1886-1968)、織田廣喜(1914-)、佐野繁次郎(1900-1987)などの日本人画家のとらえたパリの街角の描写を中心にご覧いただきます。第2章「フランス生まれの画家たち」では、ルドン(1840 -1916)、ルノワール(1841-1919)、ドラン(1880-1954)、ルオー(1871-1958)、ローランサン(1883-1956)などの作品を、第3章「パリに集った異国の画家たち」では、テレスコビッチ(1902-1978)、ドンゲン(1877-1968)、シャガール(1887-1985)、キスリング(1891-1953)、ピカソ(1881-1973)やクラーベ(1913-2005)などの作品をご覧いただきます。
芸術の都 “パリ” が育んだ画家たちの自由な発想や鮮やかな色遣いに触れ、その美意識を肌で感じていただけましたら幸いでございます。
※会期中、一部展示替えがございます。日程は以下を予定。
○前期:2010年6月2日(水)~2010年12月23日(木)
●後期:2011年1月2日(日)~2011年5月27日(木)