千余年の歴史を有する日本刀。日本刀は、鞘(さや)や鐔(つば)の装飾ばかりでなく、刀身自体が美術的価値を持つ、世界でも稀有な工芸品です。最高の鉄に、火と土で刃文(はもん)や地文(じもん)と呼ばれる絵を描き、用を超え美しく磨き上げられた刀。それは戦場の道具と言うばかりでなく、一族や自らの命、時には一国の運命を託した武士(もののふ)の歴史そのものとも言えます。
佐野美術館の創立者である実業家・佐野隆一は、リーダーとしての高い志と、技術者の眼から良質な日本刀コレクションを形成しました。
本展では、一般に難しいとされる刀剣鑑賞の基礎を分かりやすくご紹介するとともに、当館のコレクションを通じ、日本刀に見る日本人の美意識をお伝えいたします。