児童文学者・長崎源之助(1924~)は横浜の下町に生まれ育ちました。幼いころ原っぱやお稲荷さんの境内で遊んだ思い出は、のちの創作の背景にもなっています。長崎の作品には時代に翻弄されつつも件名に生きる庶民や、生き生きと遊び回る子どもたちの姿が多く描かれ、なにげない日常を通じ、平和の大切さ、いのちの尊さを伝え続けています。最新作『汽笛』は、作家・長崎源之助の原点ともいえる体験を綴った作品です。本展ではこの『汽笛』をはじめとして、教科書に収録され多くの人に親しまれた『つりばしわたれ』や、『汽笛』に登場する被爆児童たちへの思いから生まれた『ひろしまのエノキ』などを軸に、その作品世界を原画とともに紹介します。
また第2部では、1970年に自宅で解説した「豆の木文庫」での活動と、1972年に設立された横浜市の文庫の連絡会「よこはま文庫の会」会長としての活動なども紹介します。