カンボジア王国にある「アンコール遺跡群」は東南アジア最大規模の寺院建築群として知られ、1992年にはユネスコの世界遺産に登録されています。カンボジアの源流であるクメール民族が9世紀頃に開いたアンコール王朝では、ヒンドゥー教の神々や仏を祀る壮麗な寺院の数々が建立されました。なかでも12世紀に建てられたアンコール・ワットは日本でもその名が広く知られています。こうした寺院を彩るクメール美術は独自の洗練された造形美で世界的に高い評価を得ています。本展では、プノンペン国立博物館とシハヌーク・イオン博物館所蔵のクメール彫刻と工芸品あわせて67点を一挙公開します。アンコール王朝の歴史とその美術の精華にふれ、アジアの大地に花開いた深い信仰と繊細な造形世界をご堪能ください。
【今回の見どころ】
2001年に上智大学アンコール遺跡国際調査団によって発掘され、アンコール王朝の歴史を塗り替える大発見となった仏像11点や、アンコール・トム遺跡内の「ライ王のテラス」と呼ばれる場所に安置されていた、三島由紀夫の戯曲の着想源として知られる彫像《鎮座する閻魔大王ヤマ天》などが本邦初公開となります。