千葉県出身のガラス作家須藤珠美は、自然の移ろいを表現した華麗なガラス器の制作で注目を集めています。神奈川県川崎市において彩グラススタジオを主催する伊藤賢治に1998年から師事、近年は毎年個展を開催し、精力的に制作活動を続ける気鋭の作家です。
須藤は、季節を彩る花木や流れる雲、月明かり、風の動きなどあらゆる自然の姿を、色とりどりのガラス片や金箔を効果的に散りばめ風情豊かに表現しています。近年は、熔けたガラスを棒状に伸ばし、数種類の棒を組み合わせて成形する可憐なレースガラスの制作にも取り組んでいます。また、玉虫色に輝くラスター彩を用いるなど、ガラス器において多様な色彩美を追求しています。
透明で硬質なガラスのイメージとはひと味違う、色彩の豊かなきらめきやフォルムのしなやかさが、作家独自の詩的な世界を形成しています。色ガラスが織り成す豊潤な装飾美の中に日本的な情緒が溶け込んだ、たおやかなガラス作品をご堪能ください。