カレル・ゼマン(Karel Zeman 1910-1989)は、人形アニメーションや絵本で人気の高いイジー・トゥルンカ(1912-1969)と並ぶチェコ・アニメーションの創設者であり、巨匠の1人です。ゼマンは第二次世界大戦中、チェコ・アニメーションの発祥地・ズリーンを拠点に制作を開始しました。そして、ジュール・ヴェルヌの原作をもとにした『悪魔の発明』(1958年)などの斬新な映像作品を創り出し、切り紙やガラスなどさまざまな手法を駆使してトリック映画の王道を歩みました。
本展は、遺族が所有する原画や人形、貴重な制作過程の資料や絵コンテなどの展示やアニメーション作品の上映を通じて、ゼマンの創作活動の全容をたどろうとするものです。また、ゼマンに多大な影響を与え、「チェコ・アニメの母」と称されるヘルミーナ・ティールロヴァー(1900-1993)、フランスのジョルジュ・メリエス(1861-1938)との関連性を含めた、チェコ・アニメーション史の草創期もご紹介します。あわせて、父・ゼマンとともに映画制作に携わった長女・ルドミラの切り紙アニメーションや絵本の原画もご覧いただきます。