このたび川村記念美術館では、東京国立博物館が所蔵する《色紙貼付桜山吹図屏風(しきしはりつけさくらやまぶきずびょうぶ)》を特別に展観する運びとなりました。慶長10(1605)年頃に制作された本作は、桃山時代から江戸初期にかけて京都で花開いた「琳派」の創始者、本阿弥光悦と俵屋宗達の合作によるものと言われ、宗達の初期の作風を伝える重要な作品です。ゆるやかに広がる緑の丘に、真っ白な山桜と金色の山吹が咲き誇り、山里の遅い春の訪れを感じさせます。宗達は、この雅やかな情景を描いたうえ、自らの下絵に光悦が古今和歌集の句を書写したとされる色紙を屏風全体に優美に配しています。
「ジョゼフ・コーネル×高橋睦郎」展と合わせて、美術と文学のコラボレーションをお楽しみいただける展示です。また、時節柄、美術館の庭でも春の花が見頃となります。自然散策とあわせてご高覧いただければ幸いです。