日常という舞台の幕がスルスルとあがり、物語の始まりを予感させる・・・。井上悟の作品は日常に隠れている一瞬の“間”を切り取り、なんでもない時間を劇場に変えてしまいます。ディフォルメされた人物、彩度の高いしっかりとしたマチエールを持った色面でつくられる画面は、アカデミズムにはない不思議なリアリティをかもしだしています。過度な説明も答えもあるわけではない井上の世界は、『アメリカン・フォークアート』と評されるように牧歌的で実にユニークです。こちらに向けられた視線を感じたら、きっとあなたもその物語の一員になっていることでしょう。
さぁ、はじまり はじまり!