女性の洋画家でただ1人、文化功労者に顕彰された三岸節子(1905-1999)が94歳で亡くなって10年が経過しました。明治、大正、昭和、平成の激動の時代に、女性画家の第一人者として先頭に立ち、力強い作品を発表し続けた三岸節子。彼女にとっ て描くことは生きることであり、絵は祈りそのものでした。19歳で天才画家・三岸好太郎と結婚。29歳で3人の幼い子供をかかえた未亡人となり、戦争中も疎開せずに静物画を描き続けていました。戦後、人気作家となった境遇に満足せず、63歳から20年間フランスに渡り風景画に挑戦。波乱の道のりを自らに課すような生涯を送りました。
本展覧会の調査中に、フランス・ヴェロンと神奈川県大磯のアトリエから数十冊の日記帳が発見されました。その中には、節子の絵にかける思いや家族との葛藤、フランスへ渡ってからの生活が赤裸々に綴られています。
没後10年を経た現在だからこそ発表出来る日記の内容をもとに、節子の心の
旅路をたどりながら代表作品約80点を紹介します。
また、夫・三岸好太郎、息子・三岸黄太郎の作品をもあわせて展示します。