四季折々の江戸の風景を、巨匠・歌川広重が斬新な構図と鮮やかな色彩で描いた「名所江戸百景」。後期印象派の画家ゴッホにも影響を与えるなど、浮世絵版画のなかでも最も広く知られたシリーズの一つです。広重晩年の代表作であると同時に、「亀戸梅屋舗」や「大はしあたけの夕立」など、生涯を通じての名作とも言える作品も多く含んでいます。刊行当時からも評判が高かったようで、「百景」と銘打ちながら最終的には百十数枚が広重の手によって世に送りだされました。
本展では、優れた保存状態を誇る太田記念美術館本全点を、前期後期に分けて展観いたします。洋の東西を問わず今日まで人々を魅了してきた「名所江戸百景」。うつろう季節とともに表情を変える情趣ある江戸の風景をお楽しみ下さい。