ルーシー・リー(1902-1995)は、20世紀を代表するイギリスの女性陶芸家です。
ウィーンの裕福な家庭に生まれたルーシー・リーは、ウィーン工業美術学校で轆轤に魅了され、その後、数々の国際的な展覧会での受賞を重ね、作家としての地位を確立します。しかし、第二次大戦を避けるため亡命を余儀なくされ、ロンドンに居を移すと、以後およそ半世紀にわたり同地で制作を続けました。轆轤成形によるシンプルなフォルムと、長年の研究から得たさまざまな釉薬、掻き落としや象嵌などによる装飾が調和した多彩な作品は、時代や国境を越えて、今もなお多くの人々を魅了し続けています。
本展では、ヴィクトリア・アンド・アルバート美術館(イギリス)、ハンブルク美術工業美術館(ドイツ)など国内外の優れたコレクションから選りすぐった約200点の作品に加え、日本初公開となる釉薬ノート、手紙も展示します。
初期ウィーン時代から円熟期に至るルーシー・リーの創作の軌跡をたどる本展は、没後初の本格的な回顧展となります。