今回は開館して初めてとなる「彫刻」作品を中心とした展覧会を行います。 取り上げる彫刻家高田博厚(1900-87)は、小さい頃から文学、哲学、美術の書に熱中し、友人の紹介で知り合った高村光太郎(彫刻家・詩人)の影響を受け「彫刻」の道を志します。31歳で単身パリに渡り、ロダンやマイヨールら近代彫刻の巨匠に学び、「彫刻」制作に没頭します。27年間に及ぶ滞欧中には文豪や哲学者、詩人など幅広い人々と交流がありました。帰国後も新制作協会会員、日本ペンクラブ理事、東京芸術大学講師などをつとめ、「彫刻」制作を続けるのはもちろん、芸術著書も多数執筆し、芸術、哲学、思想、音楽など様々な分野で活躍した人物です。
彼と荻須高徳(1901-86)は、偶然にも、生きた時代、渡仏時期が重なっており、また、高田は荻須を「荻須ほど油絵をつかいこなせるものはいない」と高く評価しており、お互い交流もありました。
ふたりがフランスで体感した芸術、そこから確立していった作風を感じてもらうと供に、「彫刻」作品の持つヴォリューム感や高田が制作した肖像の表情から平面ではない立体の面白さや美しさをご紹介します。