私たちの身のまわりには写真や映像など視覚的な情報があふれ、テレビやインターネットを通じて様々な物の外観を知ることができます。しかし重さや固さ、温度や湿度といった感覚は正確には分かりません。見た目では伝わらない微妙な形や質感の違いが手でさわるとよくわかることから、触角はとても鋭敏な感覚といえます。
生活の中で工芸品や家具などを手にとって愛でる、さわり心地を確かめるという気持ちは誰もが持っている感情でしょう。私たちは肌で感じる情報を意外に大事にしているのではないでしょうか。美術館にある彫刻作品もふだんは目だけで鑑賞しますが、さわってみたいと思ったことはありませんか。
本展ではブロンズ、石、木やテラコッタなど約40点の彫刻作品がどれもさわって鑑賞していただけます。また、さわって遊べる木の遊具の展示では、小さなお子さんも楽しみながら木のぬくもりを感じることができます。手でみることで広がる、新鮮な彫刻の世界をお楽しみください。