産総研(独立行政法人 産業技術総合研究所 中部センター)は、陶磁器デザインの先端的な研究機関であった京都市陶磁器試験場(1896-1920)、国立陶磁器試験所(1919-1952)、名古屋工業技術試験所(1952-1993)などの流れを汲む研究機関です。
かつて、これらの各機関では、日本の陶磁器の海外輸出振興をリードするため、新たなデザインの創出を目指し、日々、研究と試作が行われていました。これらの研究と試作には、陶磁器における彫刻=陶彫という新たな分野を切り開いた沼田一雅や、図案家の神坂雪佳、陶磁器デザイナーの日根野作三、内田邦夫などの錚々たるメンバーが関わり、数々の試作を生み出していたのです。
また、産総研には、研究と試作の参考のために収集された国内外の貴重な陶磁器コレクションが残されていました。その中には、斬新で優美なデザインをもつヨーロッパのアール・ヌーヴォー陶芸作品から、貴重な韓国陶磁、そして近世から近代にかけての日本陶磁などが含まれています。本展では、産総研が所蔵する試作品と、デザインの参考に収集された様々な陶磁器作品の全貌をはじめて紹介いたします。