女性画家タマラ・ド・レンピッカが活動を始めた1920年代。
大胆な風俗が現われ、都会のライフスタイルが確立し、女性が社会に進出しだした時代である。彼女はまさにその実践者であり、その生き様は現代人顔負けの奔放さに溢れ、作品はどれも彼女の分身として、見る者を圧倒する。
画面からはみ出さんばかりの圧倒的な存在感を持つ女性像。筆跡のない金属的な光沢を放つ肉体は、大型のモーターバイクのように官能的だ。鋭いまなざしもその特徴である。たしかにそこには、彼女自身が投影されている。
私生活でもレンピッカは本能の赴くままに生きた女性であった。スポーツカーを乗りこなす恋多き女の相手には女性もいた。画家になったこと自体が、自身が欲したことであり、フォトジェニックな美しさは、その生きる姿勢がもとらした。やりたいことをやる。ただそれだけのことが、しかし必ずしも容易ではないそんな生き方が、レンピッカを、そしてその作品を、輝かせているのである。
本展は日本初公開約30点を含む60点以上の作品で構成されるファン待望のレンピッカ展である。