日本の伝統芸能「能」は、謡(うたい)や鼓(つづみ)の調べとともに、能面と能装束を身につけた演者によってストーリーが語られていきます。本展では室町時代から江戸時代の男、女、鬼、妖精の能面と、それぞれの面に合った能装束を選び、約30点を展観します。
たとえば「小面(こおもて)」という十代の愛らしい女性の面には、紅色が鮮やかな「紅薄縹段鉄線花唐草模様唐織(べにうすはなだだんてっせんはなからくさもようからおり)」を組み合わせます。そのほか、演目「葵上」「杜若」「敦盛」「猩々」に用いる面と装束を展示するほか、江戸時代初期の優品「茶地立涌雪持模様縫箔(ちゃじたてわくゆきもちもようぬいはく)」も出品し、能ならではの幽玄な美の世界をご紹介します。