この展覧会は春日明夫氏(東京造形大学教授)が長年にわたり蒐集してきた木を中心とする玩具コレクション約5000点の中からアーティスティックな視点で捉えたヨーロッパ、アメリカ、日本など世界30カ国以上の玩具約400点を選び紹介します。
これまで玩具の展覧会といえば知育や教育性、また主に懐かしさをテーマにした展覧会等が美術館、博物館で数多く開催されてきました。しかし、本展では玩具そのものが持つ造形性に注目し、“玩具の中にアーティスティックな面を見出す”というこれまでほとんど着目されてこなかった視点で紹介します。美しい色や形などのデザイン性、材質や手作り感、楽しい仕掛けや動く仕組み、ユーモアな物語性など幅広い意味で玩具を“アーティスティック”に捉えながら「玩具はその国の文化の入り口」をキーワードにその国特有の造形性や文化など、伝統や民族性にも触れた展示内容とします。あわせて東京造形大学春日ゼミナールの協力を得て実際に玩具で遊ぶプレイスペースを会場内に設置し、鑑賞だけでなく楽しみながら体験できる展覧会としても構成します。さらに、本展への理解をより深めるためギャラリートークの開催や東京造形大学と協力したワークショップを実施、八王子市立浅川小学校へ出前授業を行うなど関連事業も充実させ、玩具の持つアートな魅力を再発見する試みです。
近年は遊びの環境も変わり、子供たちはインターネットやゲームなどバーチャルな遊びに親しんでいます。本展では鑑賞・体験の主役である子供たちに、今一度これらの木を中心とした玩具へ触れてもらい、玩具で遊ぶことのリアルさや玩具の中にあるアートな要素を感じとることでアートの入り口を見つけてもらえればと願っています。