菅原健彦は、1962年練馬区に生まれ、多摩美術大学に学びました。在学中から横山操に傾倒し、市街地や工事現場風景などを重厚な色彩の岩絵具や箔を使って描くなど、その影響を大きく受けました。2000年からは滋賀県大津市の山中に居を移し、京都造形芸術大学で後進の指導にあたるとともに、水墨の大作に挑みました。2004年、第2回東山魁夷記念日経日本画大賞展で大賞を受賞、それまでの制作活動が高く評価されました。
自然の中に分け入って彼自身が吸い込んできた自然の霊気のようなものを、全身と筆を使って紙の上に吐き出すようなその技法は躍動感に満ちています。そうして描き出された作品はとにかく大きく、まるで自然がそのままのスケールで眼前に立ち上がったような迫力をもっています。
本展は彼の画業20年を節目に開催するもので、美大卒業制作から水墨による近作、さらにこの展覧会のために新たに制作された「雲龍図」「雷龍図」まで約40点を紹介します。