ロシア美術の殿堂、モスクワの国立トレチャコフ美術館。なかでも19世紀中頃から20世紀初頭にかけての作品は、同館の創始者である19世紀のロシアの実業家、トレチャコフがとりわけ熱心に収集したものです。それらは、祖国の歴史やロシアの誇りである様々な階層の人々の姿、そして自然を題材とした作品のみならず、フランスから伝わった印象派はリアリズムの動きと合流し、ロシアの印象派とも呼ぶべき作品も含まれています。
本展は、ロシア美術の代表的画家、レーピンやクラムスコイ、シーシキン等による、1820年代からロシア革命以前までの時代、人々の生活や、美しくも壮大なロシアの自然を描いた作品に、著名人チェーホフ、トルストイ、ツルゲーネフ等の肖像画を加えて、リアリズムから印象主義に至るロシア近代美術の流れをたどる構成になっています。「ロシアのモナ・リザ」と呼ばれる《忘れえぬ女》(イワン・クラムスコイ作)をはじめ、38人の作家による75点の作品が展示されます。