太田記念美術館は昭和55年(1980)1月、原宿にオープンしました。来年1月で開館30周年を迎えます。当館の収蔵品の核となるのは、東邦生命会長を勤めた実業家・五代太田清藏(1893~1977)が収集した浮世絵コレクション約1万2千点。五代太田清藏は多くの浮世絵が欧米へ流出したことを嘆き、大正末期から亡くなる昭和52年(1977)まで、半世紀以上にわたって収集活動を続けました。
本展覧会では、太田記念美術館所蔵の膨大な作品の中から名品のみを選りすぐり、一堂に公開いたします。コレクションは菱川派など初期浮世絵から大正新版画まで幅広い年代の作品を含み、まさに浮世絵の歴史を通観できる内容となっています。また、優れた保存状態と美しい彫・摺の作品が数多く含まれることも、当コレクションの特色のひとつです。春信・歌麿・写楽・北斎・広重をはじめ、数年に一度しか見られない珠玉の名品が勢ぞろいする本展覧会を通じ、あらためて浮世絵や江戸文化の魅力に触れてみてください。