日本美術の傑作として名高い国宝 尾形光琳筆「紅白梅図屏風」を中心に所蔵名品展を開催いたします。
「紅白梅図屏風」は、琳派芸術の最高峰とされ、白梅の大部分を画面外にかくし、紅梅は画面一杯に描いて左右に対照の妙をみせ、中央に水流をおいて末広がりの微妙な曲面をつくり上げた見事な意匠となっています。のちに光琳梅として愛好される花弁を線描きしない梅花の描き方や蕾の配列、樹幹にみられる「たらし込み」、更に他に類を見ない水紋など、優れた要素が結集して、画面に重厚なリズム感と洒落た装飾性を与えています。
尾形光琳は、京都の高級呉服商雁金屋を営む尾形宗謙の次男として生まれました。少・青年期、富裕な家庭環境のもと、父より能や書、絵の手ほどきを受け、狩野派の画技も学んでいます。また生家にあった本阿弥光悦や俵屋宗達の作品に触れ、その作風を慕って復興を志しました。そして元禄14年(1701)、44歳のときに法橋の位を叙任されました。宝永元年(1704)以降、数度江戸に下向しますが、宝永6年(1709)に帰京し、その後、光琳画業の集大成といわれる「紅白梅図屏風」を描いたと考えられます。
本展では、この尾形光琳筆「紅白梅図屏風」の他、奈良時代から室町時代の古筆切を収めた古筆三大手鑑の一つ、手鑑「翰墨城」、京焼の大成者・野々村仁清の傑作、「色絵藤花文茶壺」の国宝をはじめ、日本・中国の絵画・書跡・工芸等を展示します。
初春に「紅白梅図屏風」と伝統に培われた香り高い東洋美術の優品をこの機会にぜひご鑑賞ください。