この度、当館コレクションより、人気の高いアール・ヌーヴォー・ガラスを3年ぶりにご紹介いたします。
アール・ヌーヴォー(Art Nouveau)は、19世紀末、ヨーロッパを中心として花開いた装飾芸術で、「新しい芸術」を意味しています。科学技術の進歩がめざましく、機械による大量生産品があふれた時代の反動として生まれました。
日本美術からの影響を強く受けており、主に動植物をモチーフとし、有機的で流動的な曲線を用いた表現が特徴です。この優美でダイナミックな様式は、工芸、絵画、建築、室内装飾などあらゆる分野にわたって浸透し、アメリカや日本まで影響を及ぼしました。その中でも中心的役割を果たしたのが、ガラス工芸です。また、その後には幾何学形態を用いた表現の装飾芸術アール・デコ(Art Deco)が発展していきます。
本展覧会では、アール・ヌーヴォー・ガラスの代表的作家であるエミール・ガレとドーム兄弟を中心に、ティファニーのステンドグラス、参考展示としてシュナイダー他のアール・デコ作品あわせて約50点をご覧頂けます。
鋭い観察眼と高い技術で、動植物を美しく情緒豊かに表現したガレと、明快で落ち着いた作風で風景文などに多く秀作を残したドーム。単純明快なデザインが美しいアール・デコ・ガラス。
ガラスの色彩と、光が織りなす世界をお楽しみください。