本展は、日本の探偵・推理小説界を確立した巨人・江戸川乱歩の生涯と作品を紹介する展覧会です。
江戸川乱歩(本名・平井太郎)は1894年(明治27)、三重県名張町(現・名張市)に生まれ、早稲田大学を卒業後、職業遍歴を経て1923年(大正12)に短編「二銭銅貨」でデビューしました。その後も「D坂の殺人事件」「パノラマ島奇譚」「陰獣」「黄金仮面」「黒蜥蜴」「怪人二十面相」ほか数々の作品で日本探偵小説界に新生面を開きましたが、戦時下の言論統制で創作休止を余儀なくされました。戦後、活動を再開すると、評論や内外の作家・作品紹介、江戸川乱歩賞制定、日本推理作家協会設立などに尽力し、今日に至るミステリー小説界発展の礎を築きました。
東京池袋の旧乱歩邸に保存されていた膨大な蔵書や収集資料は、現在、御遺族の平井家から立教大学へと受け継がれています。今回の展覧会では、これらの乱歩旧蔵資料をはじめとする貴重資料によって70年の足跡をたどります。