白いベールのような雪と空気をまとった光景からは、まさに冬の北海道の風土感や空気が伝わります。深い思索に誘うような静謐な作品を制作したのはイギリス出身の写真家マイケル・ケンナです。現在はアメリカを拠点に活動を続ける彼が、北海道の風景に惹かれたのは2002年のこと。以来北海道を訪れ、屈斜路湖周辺の風景をはじめとして優れた作品を発表しています。
マイケル・ケンナは1970年代から自然風景や庭園、都市、さらに大聖堂などの巨大建造物を題材にした作品の制作を始めました。彼の作品は巧みに組み立てられたシンプルな構図と、丁寧な諧調でプリントされた画面が特徴です。卓越した技術から生み出され、作者が体験した時間と記憶をそのまま写真に現そうとする作品の数々は、見る者を幻想の世界にいざないます。
本展では風景写真の第一人者として世界的に高い評価を受けているマイケル・ケンナの世界を130点の作品で紹介します。世界各地の光景から、彼によって新たに見出された北海道の風土表現にいたるまで、写真家の目がとらえ、創造したさまざまな風景写真をお楽しみください。