内井昭蔵は、人と自然の対話を目指して世田谷美術館を設計した建築家です。生涯にわたって内井が建築のなかに生かそうとした「人間性」という理念は、力強い通奏低音となって作品の根底に根付いています。
自然の秩序を建築にとりこみ、そこに自ずと生まれてくる装飾を大切にし、「ひと」を建築になじませ、「ひと」と建築をいかに近づけるかという理念の展開をご紹介いたします。
また、内井昭蔵は建築家としての祖父、そして父をもつ、いわば三代にわたる「つくり手」としての血脈を引き継いでいます。本展では、こうした内井昭蔵をめぐる生育環境も視野に入れ、さらに内井昭蔵が設計した世田谷美術館という建築空間で、内井昭蔵の業績を回顧するという重要な要素を意識し、展覧会を構成してまいります。