この秋、ふくやま美術館は、19世紀のイタリアの重要な芸術運動「マッキアイオーリ」を紹介する特別展を開催いたします。今回は初のイタリア外務省とイタリア文化財・文化活動省の共同企画として、ほとんどが本邦初公開となる珠玉の作品が集まりました。
1856年頃、フィレンツェに集った若い画家たちは、因襲的なアカデミズムからの脱却と新しい芸術の創生を目指しました。大胆な斑点(マッキア)を用いた画法から、「マッキアイオーリ」と呼ばれるようになった彼らは、フランスの印象派にも先駆けて、自然における光の描写を追求していきます。
ときにイタリアは、統一運動(リソルジメント)の動乱のただなかにあり、画家のなかには運動に身を投じるものもいました。やがて彼らのなかには、自分たちの生きるこの時代を描くことこそ、近代画家の役割ではないかという意識が芽生えてきます。こうしてマッキアイオーリの画家たちは、新たに手にした表現によって、同時代の独立戦争、かけがえのない日常生活、そして雄大な自然をいきいきと描いていきました。このような近代イタリア、青春の軌跡を、フィレンツェのピッティ宮殿近代美術館、リヴォルノの市立ジョヴァンニ・ファットーリ美術館などの作品63点でたどります。