川崎市市民ミュージアムでは、平成17年3月、川崎市在住の大島茂氏から約1900点にのぼる灯火具コレクションの寄贈を受けました。その後、さらにいくつかの灯火具と関連資料が加わり、現在ではその数2000点、日本の灯火の歴史をたどることができるほど充実した内容となっています。
今回の展覧会は、この灯火具コレクションを広く一般に公開することを目的として企画されました。収蔵品の中から、自然木や石を利用した民具の灯りや、意匠を凝らした座敷ランプ、江戸のからくり灯火具など、さまざまな灯りの道具とともに、それらが描かれた絵画資料などもあわせてご紹介し、日本における灯りの変遷をひもといていきます。
また、日本人の生活と灯りの関わりについても考えてみたいと思います。行灯(あんどん)や燭台、石油ランプの灯りのもと人々はどのような夜を過ごしたのか、初めてともった電灯の明るさは人々の暮らしをどう変えたのか、時代ごとの灯りとその情景に思いをめぐらせてみてください。そして、現在の私たちの暮らしと灯り(照明)の関係についてあらためて考えていただければと思います。