御用絵師として知られる狩野派は、室町時代後期から明治時代の初めまで続き、その間、日本の画壇を制覇し続けた、もっとも代表的な絵師集団です。室町時代後期に活躍した狩野正信・元信親子が流派としての基礎を築き、その孫・永徳が織田信長や豊臣秀吉の後ろ盾を得た安土桃山時代に、最初の全盛時代を迎えました。下野出身の狩野興以は、この永徳の長子・光信門下の高弟として名をはせた人物で、幼少時の探幽の後ろ盾となったことでも知られています。この探幽の登場後、諸藩の多くが狩野派の絵師を御用絵師として採用するようになり、日本中に狩野派の絵画が浸透しました。
現在でも、下野の地には正信の希少な作品が伝わっており、また日光関係の御用の多くを狩野派の絵師がつとめた関係で、探幽をはじめとする多くの優れた作品がのこされています。
この企画展では、主に東国の地とゆかりの深い狩野派画人の作品に焦点をあて、その約400年にも及ぶ歴史を紹介いたします。重要文化財七点を含む、約100点が出品される大規模企画展です。