江戸時代前期、鎖国下の日本からも世界に向けて、豊かな日本文化が発信されていました。その代表的な例が、有田を中心に輸出用に焼かれた磁器です。
本年は1659年10月15日にオランダ東インド会社によって正式な磁器輸出が始まってから350年目に当ります。本展ではこれを記念し、パリを中心にヨーロッパで蒐集された碓井コレクションの中から選りすぐりの優品を紹介いたします。
中国磁器の模倣に始まった輸出磁器が、日本独自の美意識と技術の発展により、本家中国を凌駕するまでに成熟してゆく過程をご覧いただきます。有田磁器の発展過程を段階毎に分かりやすく展示するとともに、輸出向けの特徴をもつ作品や、渡欧後に金鍍金を施したブロンズで装飾されたひと味違った古伊万里など、珍しく貴重な作品の数々も展示いたします。
実際に海を渡った古伊万里からは、当時のヨーロッパ王侯貴族が求めていた磁器へのあこがれや趣向を知ると共に、戦乱により衰退した中国磁器に代わって、ヨーロッパへの磁器供給を担った日本磁器の技術力の高さを感じていただけることでしょう。