中国古代において、山岳は、神のいる場所、あるいは不老長寿を得られる神仙の世界としてとらえられていました。また、世俗を離れ高雅な生活を営む世界を、山岳に求めることもありました。
中国の人々のこのような山に対する神的なイメージやあこがれを、絵画をはじめとする多くの作品にうかがうことができます。特に山水画は、単なる自然描写にとどまらず、山が備えている神聖な有り様とともに作者の精神が込められるべきものとされ、様々な表現が生み出されてきました。
本展覧会では、当館が所蔵する中国の絵画、工芸品を中心に、約60点の山を表現した作品を展示します。古代の山岳文様から、近代に描かれた山水画まで、中国で古くから親しまれてきた山の造形をご鑑賞下さい。また、山の表現が見られる、日本の絵画、工芸品もあわせて陳列いたします。