2008年夏に相次いで大規模な展覧会が開催され、注目を集めた母子の画家・丸木スマと大道あや。
ともに人生の老境にさしかかってから絵筆を持ちはじめた二人は、色彩豊かで生命のよろこびがあふれ出るような世界を描き出し、見る人の心を動かしました。
花や生きものたちに注がれる二人の視点は、一見よく似ています。
しかし、自然と一体になって心の向くまま奔放に筆を走らせたスマに対し、あやは対象をじっくり観察し緻密な筆づかいで画面の隅々まで気を配るなど、二人の絵には本質的な違いも感じられます。
今回の展覧会では、約50点のスマの絵画を中心に、丸木美術館近在の方が所有するあやの絵画を数点ご紹介いたします。二人の作品を対比することのできる貴重な機会になることでしょう。
スマとあやが絵をはじめたきっかけには、丸木位里・丸木俊夫妻の存在が大きく関わっています。
スマの絵の面白さを見いだし、画家活動を積極的に応援した俊。
あやに「絵の極意を教えちゃる」と言い、東松山への転居を誘った位里。
丸木美術館の常設展示室には、位里・俊の描いた《原爆の図》や、個人制作の水彩画、油彩画もならんでいます。
丸木家4人の画家それぞれの豊穣な絵の世界を、どうぞお楽しみください。