今回の展覧会は、豊科近代美術館を第1会場に、日本の山岳写真の黎明期に活躍した河野齢蔵・志村烏嶺から、現在活躍中の水越武まで、日本の山岳写真の系譜に連なる作家の作品を紹介します。これらは山岳写真史研究家の杉本誠氏(愛知県豊田市)が収集し、安曇野市に寄贈した作品をもとに構成したものです。?
杉本氏は美しい風景のみを切り取った写真を「山岳写真」として評価するのではなく、私たちの生活に密着してきた山の存在、人と山の関わりを見つめた作品を重視しています。信仰の対象としての山、生活の糧を得る山、レジャーの楽しみとしての山、このように古くから山は私たちの暮らしに深い関わりを持ってきました。山に対する人々の生活は変わっても、山は以前のままそびえています。これらの山岳写真を注意深く見ると、近代化の名の下に私たちが忘れてきたものを感じ取ることができるのではないでしょうか。?