第二次世界大戦後、大原美術館を主導した大原總一郎(1909-1968)は、父大原孫三郎と児島虎次郎が築いたコレクションを積極的に拡充し、西洋の同時代、日本の近代洋画と同時代の前衛美術、さらには日本民藝運動を主導した作家たちや古代中国などの作品を収集し、それに伴い今日の分館、工芸・東洋館など展示場の増設を果たしました。また、シンポジウムやコンサートなどの各種企画事業により、大原美術館の礎をさらに強固なものとし、21世紀の今日にまで繋がる新たな美術館像を創造しました。
本展では、大原總一郎の生誕100年を記念し、彼の活動を、西洋と日本の絵画作品を主とした約150点の収集作品と多数の資料によって紹介することで、日本においてようやく本格的な美術館像が成立しようとする1950、60年代になされた、總一郎の美術館創造の意義を明らかにしてゆきます。