黒田清輝(1866-1924)は、フランスで油絵を学び、日本の洋画界をリードした人物です。東京美術学校(今の東京芸術大学)西洋画家の設置当初より指導にあたり、多くの後進を育成しました。文部省美術展覧会(文展)でも第1回より審査員をつとめるなど、明治・大正の洋画界の重鎮として知られています。
教科書でもおなじみの《湖畔》や、大作《智・感・情》をふくむ、東京国立博物館・東京文化財研究所所蔵の約150点がズラリと並び、フランスでの修行時代から日本洋画界の頂点にのぼりつめるまでの、巨匠の軌跡をご覧いただけます。
石見出身の文豪、森鴎外との関係もご紹介します。鴎外は黒田の帰国直後から作品を評価する文章を発表し、後には文展審査や帝国美術院など公の場で同席するようになりました。「森鴎外ゆかりの美術家の作品」をコレクションする当館ならではの企画です。