戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、沢山の少年少女雑誌が発行されました。その中で子どもたちを魅了したのが、近未来を予見したような未来予想図です。
誰もが自由に宇宙に行ける未来、自在に空を飛ぶ乗物や流線型の高速車が走り、超高層ビルが立ち並ぶ未来都市、何でも言うことを聞いてくれるロボット、宇宙からの侵略者や怪獣と化学兵器を駆使して戦うスーパーヒーローなど等。いつか実現される、という願いをこめて、子どもたちは様々な空想の産物を夢見ました。
当時多くの優れた画家・漫画家たちが、こうした未来の姿を、雑誌の表紙絵や口絵、絵物語、漫画など様々な形で表現しています。彼らは想像力を駆使し、時にリアルに、そしてメカニックに描き出した空想科学の世界は、子ども達に未来への夢と希望を与えました。
本展覧会では、小松崎茂・伊藤展安、梶田達二、高荷義之、中島章作、中西立太、南村喬志等が描いた雑誌表紙・口絵を中心に、冒険科学絵物語、SF漫画、少年少女SF全集、宇宙・SFブームから生まれたプラモデルなどの玩具・文具等の展示から、昭和20~40年代の空想科学世界へとご案内いたします。日本がまだ夢見る力に溢れていた時代、子ども達が憧れ、胸躍らせた未来の姿をお楽しみ下さい。