美術は造形芸術とも言い換えられるように、アーティストはさまざまな「かたち」を通して表現します。そうした「かたち」を前にしたとき、私たちはどんな「きもち」になるでしょう。心地よかったり、爽やかな印象を受けたり、あるいは狐につままれたような、はたまた薄気味悪いような…。かたちそのものに直感的に興味を惹かれることもあれば、かたちの意味を求めて考え込むこともあります。なぜそうしたきもちになるのでしょうか。そのきもちをもう少し掘り下げたときに、かたちの向こう側から何かメッセージが見えてくるかもしれません。本展に出品される絵画・彫刻・写真・インスタレーション作品には、現代美術ならであの多種多様な「かたち」に満ち溢れています。それらは、発想や手法に個々の違いはあっても、どこかで私たちの「いのち」―私たちが「ここにこうして有る」ということの意味、大切さ、面白さ、不思議さ、もしかしたら理不尽さなどにも触れているのではないでしょうか。原美術館コレクションから選んだ作品を通して現代美術の幅広く奥深い世界をご鑑賞ください。