イタリア・ボローニャ国際絵本原画展は、世界最大の規模を誇る絵本原画コンクールとして知られています。今年は世界61ヶ国2714人ものイラストレーターから応募があり、その中から日本人作家18人を含む20ヶ国81人の作家が入選となりました。今年も板橋区立美術館では、その入選作品を展示します。また今年の特別展示は、イタリアの絵本作家、ロベルト・インノチェンティです。
ボローニャ国際絵本原画展とはイタリア中北部の古都ボローニャで毎年開催されている絵本原画コンクールの入選作品による展覧会です。イタリアでの開催は43回を数え、板橋区立美術館での開催は29回目を迎えます。このコンクール
は、世界で唯一の児童書専門の見本市Bologna
Children’s Book Fair)に伴うイベントの1つとして、1967年に始まりました。子どもの本のために制作された作品を5枚1組にすれば誰でも応募できることから、世界中の新人イラストレーターたちの登竜門としても知られています。
ボローニャ展の魅力は、その「多様性」です。毎年世界中から沢山の応募があり、国籍の異なる4-5人の審査員により厳正に審査が行われます。そこでは、多くの絵本を出版している有名作家の作品も、まだ出版歴のない新人の作品も、同一のテーブルに並べられます。審査員が新しい才能を感じれば、まったく無名のイラストレーターも入選することができるのです。
今年の特別展示ロベルト・インノチェンティ(Roberto Innocenti 1940-)は、フィレンツェにほど近いバーニョ・ア・リポリに生まれ、専門的な美術教育を受けることなく、13歳から働き始め、アニメーションや、本の挿絵などの仕事を通して独自の画風をうち立てます。1988年に発表した『ピノキオの冒険』は、初めてトスカーナ出身の画家が描いたピノキオとして、世界中で注目を集めました。一方『白バラはどこに』(1985年)は、戦争を語り継ぐことの使命感から生まれた最初の作品です。2000年には当館の「夏のアトリエ」講師として来日、指導にあたりました。昨年、その全業績に対して国際アンデルセン賞画家賞が贈られています。