繊細な色彩と詩情に満ちた作品で人気の木版画家・鈴木敦子。自画・自刻・自摺り(=デッサンから摺りまでをすべて作家自身で行う)により作品を制作し、1作品につき約10版以上に及ぶ摺りを重ねるため、年間の制作点数は10数点に限られています。必ず自身が目にした景色や、体験した場面を作品にするせいか、「どこかで見たことがある風景」と共感する方も多く、版画のコレクターから初めて絵を購入する方まで、幅広い層を魅了し、回を重ねるごとにファンを増やしています。
当画廊で1年半ぶりの開催となる今回は、新作約15点を発表。日暮れの馬場、夕暮れ時の街並などが登場する作品は、夜に向かう深い静けさが表現されています。これまでにもあった日常風景のあたたかさに加えて、凛とした夜の空気に満たされた作品に、鈴木敦子の新たな魅力を感じられる展覧会です。
また、会期に合わせて、新作木版画集「よるのかたち」を刊行いたします。収録される3点はすべてモノトーンで刷られており、こちらも夜の静寂が強調された作品となっております。