日本を代表する絵本画家として多くの人々に親しまれている、いわさきちひろ(1918~1974)。ちひろは子どもや赤ちゃんを描くのを得意としていました。ちひろに描かれたこどもたちは、みずみずしい生命感や、やわらかで弾力にとんだからだの質感に特徴があります。ちひろは西洋で発達した水彩画に中国や日本の伝統的水墨画のにじみやぼかしの技術を生かし、パステルを線描に使うなど、絵画表現の可能性を追求し続けた画家でもありました。親しみやすいテーマをあつかいながら、その水彩の技術やデッサンのきびしさは卓抜しています。
この展覧会では、ちひろ美術館の所蔵作品のなかから代表作品120点、ピエゾグラフ(高密度複製画)作品8点、貴重な遺品・書籍等を厳選して展示します。ちひろの作品の全体像をつかめる、神奈川県内ではじめての本格的ないわさきちひろ展です。貴重な機会をお見逃しなく、是非ご来館ください。
またこの展覧会に先立って、美術館では、お気に入りのちひろ作品とその感想など、自由なメッセージを一般から募集いたします。思い出にのこるあの絵、いつもそばにいてほしいこの絵。そうしたメッセージの数々も、作品とあわせて展示します。没後30年以上を経た現在も、子どもから大人まで多くの人々をひきつけてやまないいわさきちひろの魅力を、存分にお楽しみください。