柳澤紀子は静岡県浜松市出身で、国内外で多くの個展を開催し、高い評価を得ている美術家です。その作品は、一貫して「身体」をテーマとしています。とりわけ近年では、核や宗教問題にも関心を寄せ、現代社会の中で責め苛まれる身体の表現を通して、生命と文明についての鋭い問いを投げかけています。また代表作「水邊の庭」(スイヘンノニハ)は、詩人・吉増剛造が詩を寄せていることで知られ、美術と文学を横断する幅広い活動も特徴のひとつです。
今回の展覧会は、代表作や新作など約100点を一堂に展覧します。また当館には別館のロダン館があり、近代彫刻の巨匠ロダンの彫刻作品が約30点展示されています。それらの中に柳澤の大型作品を点在させます。「身体」をテーマとする柳澤作品とロダン彫刻とのコラボレーションは、野心的な試みとなるでしょう。これらを通して、現代における身体の問題、すなわち今を生きる私たちの生の問題に、思いをはせていただければ幸いです。