人類生命の息吹が生まれた大地、アフリカ。
アフリカ大陸には多種多様の部族が生活し、優れた文化を産み出した集団や王朝が数多く存在します。
アフリカ美術を代表する造形物としては、仮面、立像、道具、装身具、テキスタイルなどが知られていますが、中でもその独創性が凝縮されているものが仮面です。
アフリカの仮面の魅力は、そのあふれんばかりの創造力にあり、モティーフ(動物や人)、用途(民族独自の儀礼、祭事、舞踏など)、形式、素材が多彩であるのはいうまでもなく、奇想天外な形が多いことでも他に類をみません。
本展では、まず、アフリカ美術のハイライトといわれる西アフリカ、それも現在のナイジェリアを中心とする地域の造形をご覧いただきます。紀元前から栄えたノック文化をはじめ、写実的な表現が特徴のイフェ王国、ベニン王国の造形は、私たちのアフリカへの通念をくつがえす驚きに満ちています。
これを振り出しに、様々な民族の作品の間をめぐっていただくと、必ずやその世界観の豊かさと奥行きに圧倒されることでしょう。
20世紀の初め、ピカソなどヨーロッパの美術家に大きな影響を与えたアフリカ美術ですが、本展は、仮面文化に注目して、未だ日本では十分に理解されていないアフリカ美術を展望する視点を設け、皆様にその広大な世界と根源的な力に触れていただく手がかりとしていただきたいと念願しております。