群馬県富岡市に生まれた福沢一郎(1898-1992)は、1924年~31年のパリ留学中にシュルレアリスム絵画の影響を受け、日本にその画風を紹介した画家として美術の歴史に足跡を残しています。戦後は多様な表現に挑戦し、社会風刺や文明批判を 盛り込んだ作風で、歴史や神話、地獄などから想を得て大作や連作を発表し続けました。
当館では、作者の寄贈により福沢一郎の絵画を多く所蔵しており、これまで1976年、88年、92年に大規模な展覧会を開催いたしました。作家の没後も常設展示において代表作を数点ずつ紹介し続けて いますが、福沢の画風は94年の生涯にわたり多彩な変化を遂げ、また迫力ある大きな作品が多く生み出されたため、通常の常設展示で初期から晩年まで画業の全貌を紹介する機会はほとんどありませんでした。そこで今回は、所蔵作品の他に伊勢崎市と富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館の協力を得て、当館では所蔵していない1970年代後半以降の作品を加え、展示室の壁を埋め尽くすように65点の作品を展示します。福沢一郎の画風の変遷と迫力ある大画面のパノラマをお楽しみください。