本展覧会は、興福寺の中金堂再建事業にあわせて計画されました。天平伽藍の復興を目指す興福寺の貴重な文化財の中から、阿修羅像をはじめとする八部衆像、十大弟子像、中金堂基壇から発見された数々の鎮壇具、再建される中金堂に安置される仏像など、約60件を一挙に展覧いたします。
わが国でもっとも親しまれている仏像の一つである阿修羅像が東京に出陳されるのはほぼ半世紀ぶり、九州では初めてです。天平6年(734)、光明皇后の母の菩提を弔うために造像された阿修羅像は、戦乱や大火など幾つもの災難を乗り越え、大切に守り伝えられてきました。像に込められた古代の人々の心は、現代の私たちの胸の中にも入ってくるように感じられます。