松尾芭蕉の名句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」でも知られる宝珠山立石寺が9世紀に開山した地・奥州“山寺”(山形県山形市)。その名の通り山に抱かれた祈りと文化の郷であり、史跡と名勝の地として人々を惹きつけているこの山寺に、同県出身の実業家・後藤季次郎氏が平成6年に開設した後藤美術館は、ヨーロッパ美術の幅広い分野の魅力的なコレクションを有して、豊かな自然と静寂に抱かれています。
本展覧会では、後藤美術館の珠玉のコレクションのなかから、18~19世紀のヨーロッパ絵画の名品約80点を紹介します。
18世紀のロココ様式の優美・華麗な宮廷絵画から、19世紀のロマン派の情熱や、サロンで活躍したアカデミスムの画家の洗練と官能、パリ近郊のバルビゾンで田園と自然の歓びをうたったコローやトロワイヨンなどの巨匠たち、そしてフランスのみならず、イタリア、スペイン、イギリス、オランダなど各国の名匠の豊かな詩情。
ヨーロッパ絵画の輝かしい伝統とさまざまな魅力に触れて、存分に美にひたるまたとない機会です。ぜひお楽しみください。