秀島由己男は1934年に熊本県水俣市に生まれました。はじめ水彩画やペン画を描いていましたが、1957年に浜田知明と出会い指導を仰ぐ中で、次第に銅版画の制作へと足を踏み入れて行きます。メゾチントを主にした作品は、長谷川潔や浜口陽三と並び国内外で高い評価を得ています。
秀島のモノクローム、闇の中に一貫してあるのは生と死のイメージです。それは20代で訪れた父母の死や、生まれ故郷の水俣で起こった水俣病などが影響しているのかもしれません。企画展「浜田知明展」(6月6日(土)~7月12日(日))にあわせて、当館所蔵作品約30点から秀島由己男の世界をご紹介します。闇の中にうかびあがるものたちとそこから広がる深遠な世界をお楽しみください。