田本研造は幕末に現在の熊野市に生まれ、長崎で医学、化学を学んだ 後、函館に渡ります。函館で片足を失いながらも、その手術を担当したロシア人医師から写真術を学び、写真師になったと伝えられています。明治4(1871)年に開拓使から札幌近郊の撮影を依頼され、約10年間にわたり北海道開拓の様子を記録し続けます。その後も函館を中心に膨大な写真を撮影し、後世に残しました。それらの写真群は戦後、日本の写真史において「記録の原点」として「発見」され、内藤正敏、森山大道、中平卓馬をはじめとする多くの写真家たちに強い影響を与えながらも、調査・研究の途上にあり、その全貌はこれまで知られてきませんでした。『photographers’gallery press no. 8』では田本研造撮影による北海道開拓写真のなかから、当時の函館や札幌の様子を伝える写真、約490点を一挙掲載し、巨人・田本研造の全貌に迫ります。 展示内容:鶏卵紙プリント14点、イメージサイズ約22×27cm