浮世絵の復刻やオリジナル版画の制作に取り組み、日本の浮世絵制作研究の第一人者として知られる立原位貫(1951-)。
立原は名古屋市に生まれ、ジャズのサックス奏者を志していましたが、25歳のとき一枚の浮世絵に感銘を受け、版画の道に転身。独学で、試行錯誤を繰り返し、江戸時代と同じ手法、絵具、紙を研究し、歌川国芳や豊国、広重らの浮世絵を再現しました。江戸時代の浮世絵版画は「絵師」「彫り師」「摺り師」の分業により行われていましたが、立原は「下絵」「彫り」「摺り」の工程を一人で行うなど、高い技術を持ち“現代の浮世絵師”とも呼ばれています。
本展では、立原の原点とされる浮世絵の復刻作品をはじめ、小説家・夢枕獏さんの『大江戸恐龍伝』の挿絵や直木賞作家・江國香織さんと共同制作の画文集『竹取物語』(新潮社)に使われたオリジナル作品など102点を紹介します。