本展では、愛知県美術館の所蔵する作品の中から、近代日本洋画の名品を紹介します。
愛知県美術館は、名古屋市の中心部にある複合文化施設・愛知芸術文化センター内に1992年に開館しました。現在の愛知県美術館のコレクションは、同館の前身である愛知県文化会館美術館の時代から、50年以上にわたって収集されたものです。その内容は明治以降の洋画・日本画、20世紀以降のヨーロッパ・アメリカ美術を中心として、近年では江戸時代以前の絵画・工芸作品も多数加わっています。中でも、明治から現代までの洋画コレクションは、各時代を代表する名品が集められています。本展では、この中から、明治初期より1980年代までの85点を選び、展示いたします。
明治時代では、油彩画の開拓者 高橋由一、外光派の表現をとり入れ、アカデミズムの礎をつくった黒田清輝、久米桂一郎など。大正期では自己の内面に目を向けた表現を追求した木村荘八、中村彝など。昭和戦前期には、独自のマチエールによってパリの画壇で脚光をあびた藤田嗣治。また、梅原龍三郎、安井曽太郞など日本の風土に根ざした油絵の表現を目指した画家たち。戦後では、林武、鳥海青児、岡鹿之助ら具象絵画を代表する画家。戦前から抽象絵画に取り組んでいた村井正誠、オノサト・トシノブなど。これらに加えて、熊谷守一作品15点と棟方志功の版画作品も紹介します。また、愛知県ゆかりの作家で、関東近県では見る機会の少ない宮脇晴、大沢鉦一郎、北川民次、杉本健吉といった作家の作品を展示します。
愛知県美術館の充実したコレクションにより、多様な発展をとげてきた近代洋画をご堪能ください。