近世以前に作られた神社・寺院の境内絵図は、当時の社寺に関するすでに失われた情報を数多く包含していて、建築史・宗教史はもとより広く社会文化史を知る上にたいへん重要な資料となります。
歴博では平成11年度に博物館資料調査として、従来あまり顧みられることのなかった社寺境内図(とくに近世のもの)を取り上げ、全国的な調査を行いました。
今回の企画展示はその調査結果をふまえて、社寺境内図から何が分かるのかその資料性を追求しようとするものです。具体的には、明治に廃される以前の神仏習合時代の建物と配置、神・仏への信仰と参詣の形態、社寺の立地環境などを社寺境内図から読み取り、当時の人々にとって社寺とは何であったのか、それが現代へどうつながっているのかを探ってみることとします。