水ぎわ族を自称する、自然派アーティスト・村上康成さん。子どもの頃から絵を描くことと釣りをすることが大好きだった。絵や漫画を描くことが楽しくて仕方ないと思ったのは小学3年生のとき。手塚治虫にあこがれ、浪人時代に「のらいぬ」(谷内こうた)に出会い、絵本の世界に大いなる興味を抱く。
デザインの仕事をへて、絵本の世界にデビュー。自分の本当に好きな世界を絵本で表現した『ピンク、ぺっこん』(83年ベネッセ)のシリーズにより、日本をはじめ海外での評価を博す。魚や鳥、自然の生き物たちが個性的にデフォルメされ、シンプルな画面で展開する絵本には、村上さんの好奇心とユーモア、自然や生き物への畏敬の気持ちが伝わってくる。
いっぽう、中川ひろたかさんは、絵本『さつまのおいも』(95年童心社)で、村上さんとコンビを組んで絵本作家としてデビュー。日本ではじめての男性保育士として、5年間保父として勤務。87年には、みんなのバンド「トラや帽子店」を結成。以後、シンガーソングライターとしても活躍する。子どもたちと遊び、いっしょに楽しんだ時間を、歌や絵本の世界で表現する中川さんと、自然に対しての実感を楽しみながら絵本にしている村上さんのコンビネーションで作られた『みんなともだち』『えんそくバス』など、「ピーマン村の絵本」シリーズは、大人から子どもまで人気を博している。